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山口むかし話 その20
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猫は、ていねいにお礼をいうと、一文銭を拾いあげたよろこびのあまり
 猫に鼠(ねずみ)に空たつ鳶(とんび) 河にゃ鵜(う)の鳥、鮎(あゆ)の魚
 猫に鼠に空たつ鳶、河にゃ鵜の鳥、鮎の魚
と、歌をうたいながら帰って行きました。

しかし、歌の中には、大切な一文銭を落とすようなことをさせたので、河を渡してくれた犬のことは一言もはいっていません。
河を渡してくれた犬の有り難さを忘れてしまったのです。

この歌を聞いた犬は、猫の恩知らずと、たいへん腹をたてました。

それ以来、猫は何かひとつ忘れるくせがつき、犬は猫をみれば、そのときのくやしさが忘れられず、歯をむきだして追い回すようになった、ということです。

(阿武郡)

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