むかし、むかし、周防(すおう)の国のある村に、正直で親切な庄屋(しょうや)さん夫婦が住んでいました。 この石臼に「臼、臼まわれ」といいますと、真っ白な塩が、さらさらといくらでも出てくるのです。 ある日のこと、この不思議な石臼の噂を聞いた隣の国の庄屋さんが、周防の国の庄屋さんの家までやって来て、 正直で親切な周防の国の庄屋さんは、蔵の中に案内して、石臼から塩を出して見せました。 これをみた隣の国の庄屋さんは、まこと噂通りに塩の出る石臼をうらやましく思い、石臼がほしくなって、ふと悪い心を起こしました。 そしてその晩のこと、お供につれてきた村の若者に、石臼を盗み出させ、海から舟で逃げることにしました。 |