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山口むかし話 その5
落ちた雷
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八代の山の中の里には、天徳曇天(テントクドンテン)さまというえらいお坊さんの開いた、太陽寺という古いお寺があります。

ある日、にわかに夕立がきたかと思うと、お寺の庭に、われるような音をたてて雷が落ちてきました。

テントクドンテンさまは、雷にも負けない大きな声で、「おつちッ」と雷に呼びかけられました。
すると、どうしたことでしょうか。雷は急に力がぬけて、その場にはいつくばってしまいました。

「おつち」というのは女の人の名前ですが、雷は名前をつけられると、天にかえる力を失ってしまうのだそうです。
テントクドンテンさまはそれを知っており、雷が落ちてきた間一髪をはずさず、雷をいけどってしまわれたのです。

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