また、ある晩のこと、おしょうさんが長祖生(ながそう)を通りかかると、女の子がひとりで、しくしく泣いていました。 しかし、おしょうさんが寺に帰りつくと、きつねは背なかからすりぬけてしまいました。 部屋を見まわすと、床の間のほていさんが二つになっています。 すると、こんどは茶がまが二つになっています。 |
そこで、おしょうさんは、念のために、きつねから「わび証文(しょうもん)」をとって、ゆるしてやりました。 (注)ほていさん…七福神(しちふくじん)の一人で弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身(けしん)。ここでは置物のこと。 |