そうして西につくと、ちょうど鼠(ねずみ)がおりました。 猫は鼠を呼び止めて、一文銭を西のおじいさんの家の天井裏からもってきてもらうよう頼みました。 鼠は天井裏にあがると、一文銭のひもをかみきって、もってくると、猫に渡しました。 猫は鼠にお礼をいって、一文銭を口にくわえると、また犬の背に乗って河を渡りました。
ちょうど河の中ほどに来たときのことです。 犬が話しかけたため、猫はつられて口を開けてしまい、一文銭を河の中に落としてしまいました。 「あっ、大変」と、猫は犬の背でわめきましたが、いくら泳ぎが得意な犬でも水の中にはもぐれません。
とにかく、東の岸まで泳ぎついたところへ、一羽の鳶(とんび)が舞い降りてきました。 猫と犬は、鳶に一文銭をとってもらうよう頼みました。
そこで鳶は、河の上にいた鵜(う)の鳥に、鵜の鳥は、河の中にいた鮎(あゆ)に頼んで、ようやく水底の一文銭を探し出し、猫に渡しました。
ページのトップに戻る