お楽しみコンテンツ
Vol.49 夏の名勝探訪 やまぐち名園めぐり
日本の庭園様式の歴史がここにある
名庭として名高い庭園のひとつに、漢陽寺「曲水庭」があります。曲水庭とは平安時代から鎌倉時代にかけて流行した庭の様式。小川に盃を浮かべて上流から流れてくる盃が自分の前を通り過ぎるまでに詩歌を詠むという、当時の貴族の宴を「曲水の宴」といいます。
漢陽寺「曲水庭」は昭和の雪舟とよばれた日本庭園の権威故重森三玲氏が、晩年に約8年の歳月をかけて完成させた作品。平安時代様式の曲水の庭園は現存しないため、その様式を後世に残すために作られたのがこの庭園です。
また漢陽寺には、この他にも様々な時代の様式の庭園があります。「地蔵遊化の庭」、鎌倉時代様式の「蓬莱山(ほうらいさん)池庭」「九山八海(きゅうせんはっかい)の庭」、桃山時代様式の「玉澗式(ぎょくかんしき)枯山水庭」、そして水郷の八景を描いた北宗水墨山水画の画題となった「瀟湘(しょうそう)八景庭」という、枯山水式でありながら、モダンアートを思わせる斬新な庭園も。これらの庭は、新緑、紅葉、雪景色と、そのそれぞれに違う表情を見せてくれる自然美が本当に心和む空間なのだと住職の杉村宗一さんは言います。
さらに裏山から清水が流れてくる潮音洞の、音や景色もほっとする穏やかな空間となっています。
■漢陽寺「曲水庭」
周南市大字鹿野上大地庵2872
TEL:0834-68-2010
拝観料:大人300円
※開園時間はお問合せください。