すると、こんどは、 「あの千石船いっぱいのわらじを買ってつかぁさい」と、せがみました。 「買うちゃらんこともないが、どうするんな」と、わけをたずねても寝太郎はせがむばかりです。 庄屋さんはわけの分からないままわらじを集めさせると 「わらじを千石船につんで、水夫をやとうてつかぁさい」と、せがみました。 水夫が集まると、寝太郎はよろこんで船にのりこみ、厚狭の入江を船出しました。
船は玄海の荒海から日本海へと進んでゆきました。 こうして二十日ばかりたったある日のこと、船はゆくてに大きな島影をみつけました。それは名高い佐渡ヶ島だったのです。
港に船をつけると、さっそく寝太郎は人々を呼び集めて、島の人がはきふるした古いわらじを、積み荷の新しいわらじと取り替えはじめました。
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