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山口むかし話 その7
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しばらくして帳場に戻ってきた番頭に主人がたずねますと
「座布団や布団の下、押し入れまでみましたが客人たちの忘れもんは、何一つござりません」と、両手を鼻の先で振るばかりでした。

「そんなことあるもんかい」主人が女房と奥の座敷に行こうとすると
「旦那さま、それはそうと客人たちからゆうべの泊まり賃もらいうけましたかい」番頭がたずねましたが
「いや、わしは知らんが、お前もらってくれたかい」女房にたずねますと、女房は女房で
「いやぁ、わたしゃお前さんがもろうたもんと思っちょりました」といったので
「しもうた。あんまりみょうがを食べさせたんでかえって宿賃はらうのを忘れて行ってしもうたわい」
宿屋のみんなは大騒ぎし、あわてだしたということです。

(吉敷郡)

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