これをみて親鶴は柿の木の下へ降りて行き 「からすさん、わたしたちにも一つうれた柿をもいでおくれでないかね」 と、たのみました。からすは 「もいでやってもええがの、お前さんはきりょうよしじゃ、よううれた柿じゃ着物がよごれるじゃろうから、まぁこれがよかろうて」 といって、まだかたい柿の実を鶴になげました。
「からすさん、子供がほしがりますので、もっとよくうれたのをおねがいします」とまた、ていねいにたのみました。
「それなりゃ、ちょっとまっちょけいや」
といったきり、からすは鶴にとってやろうともせず、自分だけよくうれた柿をたべ、種やへたを下へバラバラなげすてました。
|