またしばらくいくと、道端で休んでいる呉服屋が男をよびとめ「のどがかわいて困っているのじゃがどこか、水はないじゃろうか」と、たずねました。しかし、あたりには川も井戸もみあたりません。「そねえにのどがかわいちょるのなら蜜柑を三つあげるから、たべてみなされや」と、蜜柑をさしだすと、呉服屋は、たいへんよろこんで、男に反物(たんもの)を三反、渡しました。
男は、「これも観音様のごりやく」と旅をつづけていきました。
それからまたしばらく行くと、息もたえだえに道端にたおれた馬をどうしたものかと相談している侍(さむらい)と家来に出会いました。 それを聞いた男はとっさに「このわたしにおまかせくだされませ」と、一反の反物と馬を交換しました。
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