それから男は、馬を看病しながら 「どうぞこの馬を生きかえらせてくださいませ」と、観音様に祈りました。 すると、馬はしだいに元気をとりもどし、えさを与えて馬具をつけてみますと、それはもうりっぱな馬になりました。
数日後、備後国(びんごのくに)の大きな家の前を通りかかると「わしの屋敷や田畑をあずけておくから、旅からかえってくるまで、その馬をかしてはくれまいか」と、主人は男にたのみました。
こうして一年が過ぎましたが主人は帰ってきません。 とうとう男はその家の主人となり何不自由なくくらしたということです。
(都濃・佐波・吉敷郡)
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