「ははん、狐がいたずらしちょったんか」 と、うす目をあけて、また様子をうかがっていると、そこへ一匹の狸がやってきました。
「狐さん、わしにも少々わけてくれんかいや」と、狸がいうと、狐は 「わけてやってもええがの。それより、わしと一緒に、明日、村の馬市でひともうけせんかいの」と、いいました。
「どんなことかいや」と、狸がたずねると、狐は得意げに話しはじめました。 「わしが馬に化けるから、お前さんは、それそこに寝ちょる太吉どんにばけて、明日の馬市に馬を売りに行くんじゃ。」
狐と狸は、太吉がこの話を聞いているとも知らず、たがいにうなずき合いながら山へ入って行きました。 太吉は、こっそりその後についていき、狐と狸が住んでいる穴を確かめると、一人ほくそ笑いをしながら家へ帰って行きました。
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