あくる日の朝、太吉はまっすぐに狸の穴に行き、大きな石で穴をふさいで、出られないようにしました。そして、つぎに狐の穴へ行くと 「おいおい、狐さん、早く馬市へ出かけよう」と、狸のふりをして声をかけました。 穴から出てきた狐は、太吉をみると 「うまく化けたもんじゃわい」と、感心し、自分もさっそく見事な仔馬に化けました。
「それじゃ出かけよう」と、太吉は何くわぬ顔で、狐が化けた仔馬をひいて、馬市に出かけました。
たくさんの馬飼いたちが仔馬に値をつける中、太吉は 「ええ馬じゃが、こいつは気が荒い馬での、こうして後ろ足をしばっちょかんとあぶないんじゃ」 と、仔馬をぎゅうぎゅう荒縄でがんじがらめにしばりました。
そのうちに一人の馬飼いが七両の値をつけたので、太吉は喜んで仔馬を渡すと、さっさと帰ってしまいました。 狐も逃げようとしましたが、しばられているので動けません。 そうこうしているうちに苦しくなって、ヒヒンと鳴くのを、うっかりコンコンと鳴いてしまい、とうとう、馬飼いたちにばれてしまいました。
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