それからまた、平太たちは漁を始めることになりました。 ところが、そのころになると、空はすっかり雨雲に覆われ、風も強くなって、たいへんなしけ模様となりました。 「あぶないぞっ」と、誰かが叫んだときには、もう皆は海に放り出され、波にのまれてしまいました。
それから、しばらくたって、平太がふっと気が付くと、さっき昼飯を食べた島の浜辺に打ち上げられていました。 あたりをみまわすと、あらしは止んでいて、空はからりと晴れわたっています。 「わしは助かったのじゃ」と、平太は喜びました。
しかし、よくよく考えてみると、この島には誰も住んでおらず、帰る船も助けを呼ぶこともできません。
思案にくれ、じっと岩に腰をおろしていると 「平太さん、平太さん…」と呼ぶ声が聞こえます。
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