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山口むかし話 その16
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その途中のことです。
石の地蔵様が頭から雪をかぶって、寒そうに立っておられました。
おじいさんは気の毒に思い、地蔵様の頭や肩の雪をはらって、持っていた笠を一つ、かぶせてあげました。

それから少し行ったところに、またお地蔵様が寒そうに立っておられました。
おじいさんは、また一つ笠をかぶせてあげました。
「あと十も残っているから、まあええ」と思いながらまた、歩きはじめました。

こうしてとうとうおじいさんは、持っていた十二の笠を、みんな途中に立っていた地蔵様にかぶせてあげました。
そして売る笠がなくなったおじいさんは、町へ行くのをやめて、家に帰ることにしました。

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