その途中のことです。 石の地蔵様が頭から雪をかぶって、寒そうに立っておられました。 おじいさんは気の毒に思い、地蔵様の頭や肩の雪をはらって、持っていた笠を一つ、かぶせてあげました。
それから少し行ったところに、またお地蔵様が寒そうに立っておられました。 おじいさんは、また一つ笠をかぶせてあげました。 「あと十も残っているから、まあええ」と思いながらまた、歩きはじめました。
こうしてとうとうおじいさんは、持っていた十二の笠を、みんな途中に立っていた地蔵様にかぶせてあげました。 そして売る笠がなくなったおじいさんは、町へ行くのをやめて、家に帰ることにしました。
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