その夜明けのこと、「えいやさあ、よーいやさあ」という掛け声に、どさりと何やら物音がしました。 おじいさんとおばあさんが、そっと戸を開けてみると、つきたてのおもちがたくさん置いてありました。 二人は驚いて向こうを見ると、笠をかぶった十二人の地蔵様たちが帰って行くところでした。
「ありがたや」と二人がふしおがんでいると、おじいさんのふところから、ぽろりと、気の毒なおばあさんにもらった宝袋が落ちました。 おじいさんが開けてみると、小判が一枚はいっていました。 不思議に思って、もう一度開けてみると 二枚、四枚と、開けるたびに小判はどんどん増えていきます。
次の日の朝、二人は、気の毒なおばあさんに小判を返そうと探しましたが、どこにも見当たりません。
おじいさんとおばあさんは 「これも神様がおさずけくださったのじゃろう」 と、大喜びし、たちまち大金持ちとなって幸せに暮らしたということです。
(阿武郡)
ページのトップに戻る