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Vol.52 映画の中の景色を探しに スクリーンの中で、息づくふるさと。
自然が織りなす、山海の美。
人間魚雷「回天」の発射訓練場跡
映画「出口のない海」は太平洋戦争時代、回天特別特攻隊で出撃した若者を描いた作品。映画の撮影のほとんどが山口県内各所で行われました。ここ大津島には実際に人間魚雷「回天」の発射訓練が行われた基地や、当時の様子がうかがえる回天記念館もあります。記念館の中には実際に映画で使用された人間魚雷「回天」の操舵席が展示されています。訓練基地は、当時のままに残されていました。建物自体にも構造や造形から、歴史的建造物としての価値が高いのだとか。基地に向かう長いトンネルも、映画の中で臨場感を出す役割を果たしていたようです。
劇中の棚田から見える海に夕日が沈むシーンは、日本の棚田百選にも選ばれた油谷町で撮影されています。撮影当時は棚田周辺にある道の舗装工事が行われていましたが、できるだけ当時の雰囲気を出したいという監督の意向で工事をストップさせての撮影だったそうです。
エキストラで出演をされた末永孝文さんは「撮影中は張りつめた緊張感がありました。煙の出方ひとつでもイメージに合わなければ何度も同じ場面を撮影をされていて驚きました。出演されていた女優さんが近くの農家の方々と和やかにお昼を食べられていたのを今でも思い出します」と話してくれました。エキストラは地元で募集され、参加したみなさんは当時の衣装を身につけての撮影だったそうです。
この油谷町の棚田から夕日を臨む風景は、映画「ほたるの星」でも登場します。自然が織りなす美しい風景を、スクリーンの中に生かしたいという映画監督にとっては絶好のスポットなのかもしれません。